工藤右馬之助兼継(42歳前後)。身長ほぼ6尺(約180cm)。九戸政実にも一目置かれるほどの無類の鉄砲の名手である。
それもその筈で、実在の工藤右馬之助は、稲冨流砲術の三代師範として名を残す人物である。
稲冨流はこの後、江戸期には幕府正式砲術として採用された。
この物語の中での右馬之助は、兄弟と間違われるほど疾風そっくりの容貌である。 軽米の小領主であるが、所領の管理は弟の業綱に任せ、自らは九戸家に入っている。
無骨者だが、さっぱりとした性格により、女性にもてる。
毘沙門党の紅蜘蛛お蓮が、盗賊に囚われた子どもを助けようとしているのを、たまたま目にし、右馬之助は紅蜘蛛に助勢した。それが最初の出会いで、その後偶然が重なることにより、二人は恋に落ちる。
紅蜘蛛が心を開く、唯一の男である。
一戸城の攻防戦で、傷付いた右馬之助を救う為に、紅蜘蛛が独り城内に留まった。それ以後、右馬之助は、紅蜘蛛が死んだと思い込んだ。稀代の砲手である右馬之助は、北信愛の鉄砲隊によって、岩谷橋の上で銃撃されることになった。